2006年06月17日

変化することへの耐性の低い日本:著作権問題も玉虫色の第一歩

通信と放送の融合をめぐって、現状大きな障害のひとつとなっているのが著作権問題。(詳細は、「IP放送・VODの切り札登場!?NHK55万本のアーカイブスのネット配信全面解禁」をご参照)

そして出てきた文化庁の対応は、なんとも玉虫色。確かに著作権者は既得権益を守ろうとする反対勢力だろう。

しかし、著作権者にしてみてもきちんとしたルールの枠組みの中でコンテンツの流通が促されること自体は利益につながるはずだ。

大きな変化につながることを極端に嫌う日本のお役所仕事。文化庁の今回の対応を放置していてはせっかくブロードバンドの導入で欧米の先をいっているadvantageを生かすことはできない。

きちんと国益を見据え、既得権益者をもしっかりと巻き込んだ議論をできるリーダシップを政治に発揮してもらいたい。役所に任せていてはダメだし、役所にそのようなパワーを期待するのも筋違いだ。

(以下、黒字は引用文、原文はhttp://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20060609/240480/
IP放送は有線放送と同じか?− 著作権見直し方針に見える文化庁の深謀遠慮

ブロードバンド回線で地上デジタル放送をテレビに映す−−。IPマルチキャスト技術を使ってテレビ受像機向けに映像を配信する「IP放送」に,著作権処理の簡素化が一部認められる見通しとなった。これで,現在のIP放送では実現していない地上デジタル放送の配信が可能になるという期待が高まっている。

だが,当事者であるIP放送サービス事業者らの表情は複雑だ。あるIP放送事業者は「期待した内容からはほど遠い。これまで同様,ケーブルテレビ(CATV)とは別扱いであることには変わりない」と不満を漏らす。

著作権法の見直しを検討している文化庁の文化審議会著作権分科会の小委員会は6月6日に,IPマルチキャスト技術を使う放送サービスに対し,「『放送を同時再送信』する場合に限って,CATVと同等の条件での著作権処理を認める」とする報告書案を公表した。これまで必要とされていた,番組の出演者などすべての著作権者に事前の許諾を得るといった煩雑な手続きを省いて,番組放送後に出演者などに一定の報酬を支払う方式が認められることになった。

今後,既存の放送局がIP放送事業者に再送信を行うことを同意すれば,簡素な手続きで放送番組をIP技術により送れるようになる。委員会は8月にも正式な報告書を作成し,早ければ今秋頃に著作権法の改正が実施される見通しだ。

IP放送にはCATVと同等の条件が与えられない

ただし今回示された案では,IP放送にこれまで以上の有利な条件を与えるものの,CATVなどの有線放送と完全に同等の条件を整備するまでには至らなかった。「地上デジタル放送の普及にIP放送も活用する,という国策の実行に最低限必要な部分が認められたに過ぎない」と,あるIP放送事業者は口惜しげに語る。

報告書案では,IP放送がCATVと同等の扱いを受けるのは,「電波で受信した放送を同時再送信する場合」に限っている。これは主に,地上デジタル放送を再送信することを想定したもので,放送波の届かない難視聴地域の対策としてIP放送を活用するための措置である。

さらに再送信の対象は,地上デジタル放送に限らず,BS放送やCS放送も含む「放送全般」という表現とした。IP放送事業者がCS放送受信設備を設置すれば,邦画専門チャンネルや,国内ドラマの再放送中心のチャンネルといった,現時点では未対応の番組を再送信することも認めた内容だ。これを活用すれば,CATVやCS放送並みのチャンネル数を揃えた放送サービスが提供可能になる。

しかし記者には,ここに大きな落とし穴があるように見える。報告書案では,再送信以外の放送をIP放送事業者が手がける場合は「自主放送」として区別し,当面は著作権者や出演者などに許諾を得なければならないとした。例えば,CS放送用の番組を,番組供給会社から通信回線経由で送信してもらっている場合は,衛星アンテナで受信する場合とサービス内容は同じでも「自主放送」として扱われる。

一方,ほとんどのIP放送事業者は現在,番組供給会社から通信回線で番組を送信してもらっている。衛星アンテナで受信するよりも,映像品質が安定するからだ。「実務上,衛星アンテナによる受信でサービス品質を高く保つのは難しい」(IP放送事業者)という。記者から見ると,文化庁は再送信によってチャンネル数を拡大するチャンスは見せたものの,実質的には導入に踏み切れるかどうかも危うい条件しか提示しなかったと言える。

著作権者への配慮がIP放送に足かせ

さらに報告書案では,基本的なサービス分類において,IP放送を既存の放送と同等とは認めなかった。具体的には,IP放送はCATVと同じ「有線放送」ではなく,ユーザーの希望に応じて自動的に映像を送信する「自動公衆送信」だとする従来の判断を据え置くことにした。自動公衆送信とは,ビデオ・オンデマンド(VOD)や,パソコンで視聴するインターネットのストリーム映像配信などと同種類のサービスという分類である。

この自動公衆送信には,有線放送に認められている著作隣接権による保護や,制作過程の著作物を一時的に録画しておくといった権利が与えられていない。このためにIP放送事業者は,放送法で課せられている番組保存の義務を果たすために,著作権者から複製権についても許諾を得るといった,CATV事業者には必要のない余計な手続きを行っている。

こうした不便を解消することも狙って,IP放送事業者は「CATVと完全に同等の取り扱いをして欲しい」と主張を続けてきた。だが,文化庁は「解釈の変更は,著作権者に認められてきた権利を縮小することになり,継続して慎重に議論する必要がある」という見解を崩さなかった。

このように文化庁は,IP放送に今までより有利な条件を与えつつも,CATVと同等の扱いをする範囲を最低限に止め,権利の縮小に反発する著作権者に対する配慮を見せた。IP放送事業者らは,この玉虫色の方針に対して反発を開始した。

NTT,KDDI,ソフトバンクの3大通信グループは歩調を揃え,連名で反論を展開する。「自主放送についてもCATVと同等の権利が得られなければ,競争上の不利は改善されない。継続的な経営基盤が築けないことで,地上デジタル放送の難視聴対策にも協力できないことになりかねない」という内容の意見書を,文化庁に提出したようだ。これを受けて,IP放送の監督官庁である総務省も今後の政策調整に巻き込まれることになりそうだ。

(滝沢 泰盛=日経ニューメディア)[2006/06/12]
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2006年05月30日

NHKは自ら膿を出し切れるのか?

NHKの自浄作用はどこまで信頼に足るのか。

金額の問題ではないと思う。

他の会社でもあるかもしれない。でもNHKは民間会社ではない。国民から受信料という"血税"を吸い上げて、それで成り立っているのだ。

"ある程度はいいだろう"が許される存在ではないということを肝に銘じて欲しい。

(以下、黒字は引用文)
NHK、経費未返還355万円 「カラ出張」緊急調査結果
2006年5月30日付 東京読売新聞


先月発覚したNHK報道局スポーツ報道センターの元チーフプロデューサーによるカラ出張問題で、タクシー代など新たに242万円の経費の不正請求があったことが29日、NHKの調査で判明した。

また、今回の問題を契機に全部局で行った緊急調査の結果、出張旅費の未精算など計287件、355万円の経費未返還があった。

NHKのその後の調べで、元チーフプロデューサーはカラ出張時のタクシー代など220件、156万円を不正に請求していたほか、日当など86万円も不正に受給。最終的な着服額は1,995万円となった。

また、元チーフプロデューサーが所属していた同センターと札幌放送局の過去7年分の経理データなどを精査。その結果、同センターの別のチーフプロデューサーが2000〜04年度に7件10万円分、適正な経費処理を怠っていた。

いずれも出張期間を短縮したにもかかわらず当初申請した経費を受給するなどしていた。
posted by Serendipity at 20:24| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 放送・通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月23日

キラーコンテンツとしてのサッカー

テレビ朝日がW杯のブラジル代表の映像をネット配信するらしい。

やっぱりサッカーがキラーコンテンツということになるんやろうか?

いまさら遅いやろけど、PCでW杯が見れれば相当大きいと思うけど。ま、今回は深夜なので、あんまりニーズがないかもしれんけど、前回の日韓共催のときは、仕事中にPCで見れたら相当数会員になったと思う。

終了後にすぐに解約されるかもしれんけど。。。

W杯ブラジル代表の映像、テレ朝、ネット配信、TVと連携。
2006年5月23日 日本経済新聞 朝刊

テレビ朝日は26日から、サッカーW杯ブラジル代表の公式映像をインターネット配信する。国際スポーツ映像のネット配信は国内初。W杯ドイツ大会のテレビ中継と連携し、ネット会社の動画配信サービスなどに対抗する戦略。

今回はブラジルサッカー協会から国内代理店を通じて配信権を取得し、有名選手の映像を日本で独占的に視聴できるようにした。専用サイト「テレ朝FC」を開設し、月額980円で有料配信する。

民放各社は番組の有料ネット配信に取り組んでいるが、年間売上高は数千万円程度。テレ朝はコンテンツの充実で事業を軌道に乗せる。
posted by Serendipity at 20:01| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | 放送・通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月20日

NHK受信料の支払い義務化:NHKのずさんな経営体制に思う

MHKの受信料の支払いの義務化について議論がかまびすしいが、依然としてNHKの経営体制が国民から義務として視聴料を徴収するにふさわしいものとなっているかはきわめて疑問だ。

今回明らかになった2億7000万円の申告漏れ自体は修正申告を行ったとのことだ。かつ、問題とされた支出事態にはすべて実態があったことを確認している、とのこと。

しかし、前回のカラ出張問題に対する本質的な解決策が見えてこいなか、信じて欲しいといわれても無理がある。カラ出張問題の発覚した経緯もきわめて不透明やった。

NHK受信料の義務化に先立ち、衆人環視のもと、NHKの本質的な改革についての議論がなされれるべきだろう。

NHK、2億7000万円申告漏れ、書類不備を国税庁指摘。
2006年5月18日 日本経済新聞 夕刊


NHKが東京国税局の税務調査を受け、番組制作費約20億円分の経理書類の不備や職員手当の税控除のミスなどで、2004年3月期までの3年間で消費税約2億7000万円の申告漏れを指摘されていたことが18日、わかった。NHKは既に修正申告し加算税も含め約三億円を納付した。

NHKや関係者によると、書類の不備を指摘されたのは制作費のうち番組出演者らに支払われる出演料の領収書や請求書など。消費税は原材料など仕入れ段階で支払った分を差し引く控除が認められるが、こうした経理書類がないまま控除を申告していたという。

また、職員手当に関しては消費税がかからないにもかかわらず、コンピューターの設定ミスで税額控除していたという。

NHK広報局の話 請求書や領収書を求めていないものもあったが、支出自体にはすべて実態があることは確認しており、現在は税法上、問題ない形に改善している。
posted by Serendipity at 22:56| 千葉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 放送・通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月18日

NHKによる番組コンテンツのネット配信に期待

民放キー局のネット配信への取組みが、コンテンツの充実という観点からは、なかなかドライブされない感があるのは事実だと思う。

既得権益であるネットワークからお金を吸い上げる仕組みになっている以上、その仕組みを破壊する可能性が高いテクノロジーへの取組みにhesitateするのも理解できる。

だからこそ、NHKの動きは注目に値すると思う。

NHKや国が産業育成という観点から、著作権問題の解決等にリソースを割くことで、いやがうえにも環境は整備されるわけで、仮に民放が本気で取り組まなくても、時代の流れが形成される可能性がある。

そうなれば、民放各社も重い腰を上げざるを得ない状況となるだろう。

郵政問題を含め、官による民業圧迫という問題は、もちろん回避しなければならない。しかし、産業育成という観点から、初期コストをうまく分担するという仕組みづくりは官民挙げて行ってしかるべきだと思う。

(以下、黒字は引用文)
NHK、ネットで過去番組―通信・放送懇、配信の仕組み整備一致。
2006年5月17日, 日本経済新聞付朝刊

竹中平蔵総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」は十六日の会合で、公共放送であるNHKが制作した過去の番組をインターネットで全国に配信する仕組みを整えるべきだ、との意見で一致した。

だがNHKのチャンネル削減やNTTの組織見直しなど、自民党などから反対が強い論点では意見がまとまらなかった。主要論点で具体策をどこまで報告書に盛り込めるか、不透明になってきた。

懇談会は当初、16日に報告書をまとめ、与党と調整したうえで、政府が打ち出す経済財政運営の基本方針(骨太方針2006)に盛り込む段取りだった。しかし主要な論点で詰めるべき課題が多く残ったことで、会合後に会見した松原聡座長(東洋大教授)は「報告書が今月中にまとまるかどうかは未定」と述べるにとどまった。

16日にメンバーの意見が一致したのは、NHKが持つ55万本を超える過去の番組をネットで公開すること。

受信料で作成した番組は公共性が高く、過去の番組を自由に見たいという消費者の声は強い。しかし、現在は番組の出演者などから個別に許可を得なければネットで配信できないことが制約となり、ほとんど公開されていない。

このため出演者の権利を定める著作権法を改めるよう文化庁など関係当局に要請する。ネット配信でも放送のように事後承諾で番組を配信できる仕組みにするのが目標だ。懇談会では「ネット配信で海外への映像情報発信を促し、公共的な役割を果たすべきだ」という意見で一致した。

著作権の制約が緩やかになれば、民放も自社の番組をネット経由で配信する新しいビジネスの機会が生まれる。

NHKとNTTともにそれぞれ大きな課題となっている業務・組織の見直しの具体案では結論が出なかった。

NHKでは業務見直しの柱としてチャンネル数の削減を議論したが、「衛星放送を(山間部など地上波放送が見づらい)難視聴地域への対策としているのは、見直すべき時期だ」(松原座長)と考え方を整理した段階。衛星放送のチャンネルを減らす際の利点や問題点までは議論が進んでいない。

NTT改革では「携帯電話やインターネットが普及した時代に、固定電話の競争促進を目指して再編した今の組織を前提にした状態でいいのかどうか」(竹中平蔵総務相)と、議論の原点を確認するにとどまった。

NTT再編で常に話題になるのは、固定電話のNTT東西や携帯電話のNTTドコモが持ち株会社にぶらさがる現在の体制を解体し、各社を競争させる「分離・分割」論。

だが「NTTを解体すると経営体力が弱くなり、地方への光ファイバーの敷設が遅れる」といった懸念が強く、早急なグループ解体の副作用を心配する声に押されている。

竹中総務相は報告書の内容をあくまで骨太方針に反映する方針だが、与党との最終調整が難航するのは必至だ。


ネット競争時代 テレビ局の憂鬱 どうなる?「通信」と「放送」の融合
第7回】ネット進出より“おいしい”キー局と地方局の関係 コンテンツ再利用にも系列をフル活用
2006年5月15日 月曜日 吉野次郎

(オリジナルコンテンツ:http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20060512/102117/?P=1)

日本のテレビ業界は5社のテレビ局によって統治されている。いずれも東京に拠点を置く、日本テレビ放送網、TBS、フジテレビジョン、テレビ朝日、テレビ東京の5社だ。これらの在京テレビ局は全国の地方局を束ねて「系列」という組織を築き上げている。

自らの番組をお膝元である首都圏で放送するほかに、系列に参加する各地の地方局に放送してもらうための組織である。そして新作の番組のみならず、放送済みの番組までも系列を通じて再放送して、うま味をしゃぶり尽くしている。

系列で番組を流通させる仕組みは極めて有効に機能しており、多額の収入を東京のテレビ各局にもたらす。それ故ネットがいかに普及しようとも、系列以外で番組を流通させることには後ろ向きとなる。東京のテレビ各局からすれば、これは当然の判断なのである。

在京テレビ局の首脳は、「ネット事業に本格的に取り組んでいきたい」などと強調するが、実のところネットにはさほど興味がないわけだ。系列の仕組みを解剖すれば、テレビ業界の裏事情が見えてくる。

10億円で地方局を支配する

東京のテレビ局は系列内で「キー局」と呼ばれ、その頂点に君臨している。キー局が地方局を支配する体制を作れたのには訳がある。

実は、キー局は「ネットワーク費」などと呼ぶカネを系列に参加する地方局にばらまいている。これはキー局の番組を放送してくれた実績に応じて毎月払っており、年間にすると地方局1社当たり平均で10億円にもなる。全国を見渡すと、ほとんどの地方局は経常利益が数億円程度といった規模である。この規模の企業にとって、10億円といえば大金だ。

いつしかネットワーク費が麻薬のようになり、それなしでは地方局の経営が成り立たないほど依存するようになる。地方局経営者の立場になって考えてほしい。普通であれば番組を手に入れるために、なにがしかの金額を支払うどころか、番組と一緒に大金までもらえてしまう。通常では考えられないような取り引きが成立してしまう。

地方局とて、キー局から独立したテレビ局だ。地方局の経営者ともなれば、地元の名士である。そして地域社会のためにローカル情報を発信することが期待されている。

しかし、今や地方局が地元向けにローカル番組を放送している時間は、全放送時間の平均15%程度にとどまる。半数以上の地方局は10%以下にすぎない。残りのほとんどの放送時間をキー局に差し出し、与えられた東京発の番組を右から左に流している。

しかも、ネットワーク費には明確な基準などない。これが、キー局に絶大な裁量権をもたらす。キー局の幹部は「地方局が勝手なことをやったら、ネットワーク費を減らすだけですよ」などと、地方局の経営者が聞いたら背筋が凍るようなことを平然と口にする。

ネットワーク費なしでは生き残れない体質にしたうえで、生殺与奪権を握る。こうしてキー局は地方局を支配下に置くことに成功した。

地方局を支配することで、キー局は何を得ているのか。それは、ネット化の流れに背を向けさせるほど豊富な広告収入にほかならない。

キー局が系列を通じて放送している全国向けの番組には、トヨタ自動車、花王、サントリー、松下電器産業など、名だたる大企業がスポンサーに名乗りを上げ、億単位の広告料を払ってくれる。地方局のローカル番組に付く地元の旅館やスーパーなどとは桁が違う。

その結果キー局が毎年得るテレビ広告収入は、日テレ、TBS、フジ、テレ朝でそれぞれ2000億〜3000億円に達する。各局とも30社近い地方局を維持するために、総額で二百数十億〜三百数十億円のネットワーク費を毎年払っているが、その10倍もの広告収入が得られれば安いものだ。系列の規模が最も小さいテレ東でも、大都市を中心に全国で5つの地方局を配下に従え、毎年1000億円近い広告収入を得ている。

 キー局はかねてコンテンツ不足に悩むネット業界から、番組を提供してくれるよう頼まれている。だが、系列を通じて得られている収入を上回る条件を提示されない限り、キー局が最新の番組を提供することはまずない。

再放送で利益を絞り尽くす

過去に放送された番組であっても同様である。

地方局はキー局の番組を放送するよう指示されていない時間帯でも、キー局が過去に放送した番組を再放送している。そんな時間帯は、地元向けにローカル番組を放送することが許されているのだが、地方局はどうしてもキー局から提示されるうまい話から逃れられない。

キー局からは、一度放送したドラマなどを1話数十万円程度で購入するよう勧められる。地方局が自分たちで何かしら見栄えのする番組を作ろうとすれば、どう計算しても1本当たり数百万円の制作費がかかる。だからより安くキー局から購入して、地元企業のテレビCMを付けて安易に流してしまう。

チリも積もれば大金になる。各地の地方局に1本数十万円で番組を売りまくることで、キー局の番組販売収入は年間で数十億〜百数十億円に膨れ上がる。

初回の放送から再放送に至るまでおよそ3年。この間、キー局と地方局でじっくり番組をしゃぶり尽くす仕組みが出来上がっているのである。

キー局にしてみれば、こうした「系列」を上回る素晴らしい収入構造がネットで一朝一夕に築けるはずもない。

現在、キー局5社が系列を通じて番組を全国で放送するなどして稼ぎ出しているテレビ広告収入は、合計で毎年1兆円に達している。ネットでも全国に番組を配信できるとはいえ、1兆円の市場規模を望むべくもない。ネット広告の市場規模は、数多くのメディア企業が頑張っても合計2800億円にとどまっている(「日本の広告費2005年」電通より)。

さらにキー局が地方局に番組を販売して得る収入は、5社合わせて年間600億円に上る。地方局に販売する代わりにネット企業に番組を販売しても、「収入はたかが知れている」(関係者)。

系列こそ、キー局に繁栄をもたらす番組流通システムというわけだ。

いくらネット業界からラブコールを送られても、キー局は振り向かない。そもそも系列では放送する予定のない低予算番組や、系列で再放送を済ませて、“でがらし”の状態になった番組について、「さてネットへの供給を考えてみようか」とまあ、そんな発想にしかならないのである。
posted by Serendipity at 14:35| 千葉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 放送・通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月11日

本当のNHK改革はいつ実現されるのか:時間軸を示した具体的な改革案をNHKは提示すべきだ

5月10日付けの日経新聞にも記載のあるとおり、竹中平蔵総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」(以下、竹中懇談会)におけるNHK改革に関する議論は最終局面を迎えているようだ。

NHKに関する内容は以下の通りだと理解している。

@公共放送としてのNHKは維持
ANHKに対する経営の監視体制を強化
B衛星放送とラジオのチャンネルを削減する
C受信料の支払いの義務化(法律等への明文化)は見送り
DNHKの抱える豊富なアーカイブスのインターネット活用の拡大

いろいろと議論がある竹中懇談会だが、少なくともCについては、まともな判断が下されたと思う。

最近NHKは番組制作プロセスや若手の活躍ぶりなどを紹介して、NHKは変わろうとしています、着実に変わってきています、ということを視聴者に訴えようとしている。
しかし、NHKの作成するコンテンツの質自体は他の民法各局と比較して、極めて良質なものが多いと思っているし、紅白でさえ変わろうと努力していることは、私自身は評価できると思う。
だから、そんなことを訴えられても、別に何も響かない。

むしろ問題は番組制作の現場ではなく、経営にある。いつまでたっても不正が後を絶たず、現場の努力を平気で踏みにじる。
若手の頑張り等の現場の変化を訴える映像等を見るにつけ、逆に経営の怠慢を見透かし、それを糊塗しようとしているのではないかと勘繰ってしまう。
これでは現場の頑張りは本当に無駄骨になってしまう。

公共放送の位置づけを維持するのであれば、そのミッションも具体的に検討し、NHKの全職員が共有できる現実的な、具体的な案を検討する必要があるのではないだろうか。
それは、もちろん竹中懇談会のような外部の決定によるものも必要だろうが、むしろNHK自身の自浄作用として、そのような議論が必要なのではなかろうか。

民間企業(公開企業)でも、昨今はマーケットからの監視の目が非常に強くなっており、経営に携わる者は、よき緊張関係のもとに経営に望み、自浄作用を促す努力がなされている。
国民にあまねく負担を求めるのであれば、より襟を正す必要があるだろうし、強力な自浄作用が求められるはずだ。

NHKは時間軸を設定した具体的な改革案を自ら提示して、その遵守・進捗状況を国民に説明すべきだ。

日経新聞の4月14日の社説が極めて的を射た議論を展開していたので合わせて掲載したい。(以下、黒字部分は引用文)

罰則よりNHKの経営改革が先決だ(社説)

減収傾向が続くNHKの受信料に対し、総務省が支払いを法律で義務付ける案を検討するという。
竹中平蔵総務相の通信と放送に関する私的懇談会の議論を踏まえたものだが、公共放送を国民が支えようという受信料制度に罰則を持ち込むのはいかがなものか。それよりNHKの経営改革のほうが先決だろう。

放送法はテレビの購入者にNHKとの受信契約を義務付けているが、未契約者や不払い者への罰則はない。このためNHKの不正事件が引き金となり、不払い者が対象世帯の三割にも達した。しかも受信料の徴収費用が年間約800億円もかかるため、罰則を導入して徴収率を上げれば受信料も下げられるという。

しかし待ってほしい。

不払い者が増えたのはNHKの経営体制や受信料制度などに不満を持つ視聴者が増えたためだ。NHKが抜本的な経営改革策を示せば、離れた視聴者も一部は戻ってくるに違いない。また支払いの義務化は新たな社会負担となり、公共放送というより国営放送としてとらえられる恐れがあろう。

技術革新に伴う課題もある。四月から携帯向け地上デジタル放送の「ワンセグ」が始まったが、世帯ごとに徴収する現在の受信料制度ではその対象とならない。携帯電話の普及で固定電話を契約しない若者が増えているが、ワンセグをどう扱うかも十分な議論がなされていない。

契約形態にも問題が潜む。現在は地上放送向けの「カラー契約」が基本で、BS放送も受信できる「衛星カラー契約」は月額でそれより約900円高い。この分が事実上の値上げとなっていたが、地上デジタルで高画質放送を見るようになれば、あえて衛星を契約する必要はない、といった矛盾も生じてくるだろう。

竹中氏の懇談会の運営方法にも疑問を禁じ得ない。通信や放送の事業者を交えず学識者だけで構成したのはともかく、議論を公開しないのは情報公開の精神に反する。さらに事業者の代表を懇談会に呼び、参考意見を聞くときにだけカメラの撮影を認めるのも納得しがたい。

総務省は6月に政府がまとめる「骨太方針」に懇談会の議論の結果を盛り込む方針だが、審議会と異なり、懇談会はおおまかな方向性を探るのが狙いだったはずだ。密室での議論で拙速に方針を決めるのは、地上デジタル時代という節目を考えると、極めて危険だといえよう。

さらにいえばNHKにも経営改革への意欲がよく見えない。法制度改正の前にまずNHK自身が国民に納得のいく答えを示すのが順番である。
posted by Serendipity at 02:33| 千葉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 放送・通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月08日

J-WAVEのネットラジオ開始のインパクト:FM局間の競争激化

J-WAVE音楽専門ネットラジオ 国内初、来月スタート

FMラジオ局のJ-WAVE(本社・東京)は7日、音楽番組専門のインターネット無料配信サービスを国内で初めて6月から始めることを明らかにした。

通常のラジオ放送とは別の音楽番組を編成して、毎日午前10時から午後10時までの12時間、ネット配信する。ラジオ局がネットで番組を流すサービスはすでにニッポン放送などが行っているが、音楽番組だけの配信は国内で前例がなく、「放送と通信の融合」の新たな試みとして注目されそうだ。

J-WAVEの放送地域は東京都内と周辺部に限られるが、ネット配信は、国内外を問わずどこでも聴くことができる。6月から4時間の番組を1日三つずつ流し、放送と同じく番組の途中にCMをはさんで収入源とする計画で、利用者は初めに年齢や性別、職業などを入力して登録すれば無料で番組を楽しめる。流れている曲のダウンロードはできないが、パソコン画面に表示される購入ボタンをクリックすると曲の入ったCDを通信販売で買ったり、有料ネット配信を受けたりできるようにする。

著作権法では、ネット配信で音楽を流す場合、放送とは違って、1曲ごとにあらかじめ演奏家やレコード会社の許諾を受けなくてはならず、手間がかかる。

このため、J-WAVEは、許諾を得られた音楽から配信を始める一方、大手レコード会社や音楽プロダクションなど権利者側と、許諾手続きを一括処理で簡略化できるよう調整している。

(2006年5月8日3時01分 読売新聞)


いよいよ、J-WAVEがネット配信を行うそうだ。

J-WAVEは、J-WAVEオンラインなどネット対応はかなり進んでおり、その他の領域でも斬新な取り組みがなされているように思っていただけに、この動き自体に驚きはない。でも、このような動きが起こってきたこと自体はユーザーにとっては歓迎すべきことやと思う。

僕はFM愛好家で結構昔から聞いているが、J-WAVEのクオリティは高いと思う。DJも中には首を傾げたくなる人もいるけど、それでも全体的にレベルは高いと思う。

さて、この動きのインパクトは、通信と放送の融合という点にもちろんあるが、それ以上に大きいのは、今はすみわけができている各地方ごとのFM局の競争激化やと思う。

僕の実家では、大阪や京都のFM局の放送がかすかながら受信できたので、地元のFM局の質の低さに耐えかねたリスナーは用意に大阪のFUNKY802(http://funky802.com/index.php)や京都のα‐Station(http://fm-kyoto.jp/)を聞いていた(僕だけ?)。特にα‐Stationは選曲に独自の志向があって、他局のランキングでは聞けないような特徴あるヒットチャートになっていたことや、京都の地域色が出た番組作りが気に入っていた。

それが今度は全国区で起きることになる。

J-WAVEには相対的に満足していたが、それでもFUNKY802やα-Stationが聞けたらと今でも思う。

今後、チカラのあるFM局もJ-WAVEの動きに追随すると思うが、そのことが各局のクオリティの向上につながることを期待したい。
posted by Serendipity at 22:55| 千葉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 放送・通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月06日

IP放送・VODの切り札登場!?NHK55万本のアーカイブスのネット配信全面解禁

NHK番組のネット配信、2007年度にも全面解禁

竹中総務相の損的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」臓座長・松原聡東洋大教授臓は4日、NHK番組のインターネット配信について、2007年度にも全面解禁する方向で最遜調整に入った。

約55万本にのぼるNHKの番組を有効活用する狙いで、5月中にまとめる最遜報告に盛り込む。

NHK番組のインターネット配信は、総務省の指針で業務の規模で年10億円程度まで認められているが、この上限を撤廃する。ネット配信は、受信料を充てるのではなく、利用者に直接課金する方向で検討しており、利用者の直接負担を禁じた放送法の改正を視野に入れている。

NHKが保有する過去の番組は約55万本あり、埼玉県川口市のNHKアーカイブスなどで約5,700本の番組が公開されている造か、通信事業者を通じて、一部番組を有料で提供している。しかし、懇談会では国民的な財産であるNHKの番組が十分活用されていないとの属見が大勢を占めている。

同時に懇談会では、NHKのチャンネル数削減や子会社の整理・統合を進めて業務範属を縮小する方針を固めており、これらを進めることでネット配信の全面解禁に反対している民放側の理解を得たい考えだ。

また、テレビ番組のネット配信を巡っては、出演者などの著作権処理のルールが定まっておら造、権利者から番組ごとに個別に許諾をとる必要がある。

このため、懇談会では、俳優、作曲家、レコード会社など業界ごとにある著作権管・団体が権利者の権利を集中管・し、許諾手続きを簡素化できるような体制の整備を求める方向だ。ただ、権利者側は、配信を差し止める権利がなくなるなど権利の切り族造につながるとの警戒卒が強い。このため、配信可能な番組の範属は、今後議論される権利処理のルールにも影響される見通しだ。

(2006年5月5日3時00分 読売新聞)

このニュースは結構衝撃的だと思う。

記事にもある通り、ネット配信をする際の著作権関係の権利処理の問題、つまりネット配信もすることを前提に作品を作っていないため、ネット配信を行おうとすると、著作権関係の権利を持っている権利者に個々に承諾をとらなければならなければならないという問題が、過去の豊富なアーカイブスの活用の障害となっている。

上記の竹中懇の結論も、権利処理の問題が片付くことを前提としている、とあるが、この流れが著作権処理の問題の解決について、追い風となることは間違いないと思う。

「放送と通信の融合」がADSLやFTTHの本格的な浸透にともない現実のものとなりつつある現在において、その法制度のあり方をめぐる議論は、巨大な既得権益を持つ放送事業者と新規参入を検討する事業者との争いという様相を呈する。

しかし、通信と放送の融合に係る諸制度の整備に関する議論には、Internet(IP放送)を新機軸とした新しいコンテンツ配信ビジネスの世界的な潮流において、日本におけるコンテンツビジネスのプラットフォームの再整備という視点が・要不可欠であり、新規ビジネスの興隆や新規参入の促進・競争活性化と、既存の放送事業者が行ってきた投資やソフト制作についての適切な評価の両方を検討して、行うべきものだと思う。

コンテンツホルダーや放送事業者にとっても、コンテンツビジネスをめぐる新しい流れは決して逆風ではなく、きちんとしたビジネスプラットフォームが整備されれば、大きなビジネスチャンスとなることは間違いない。既得権益がいずれ崩れ去るのは規制緩和の世の常だ。

利用者、消費者の利便性を中心に据えた建設的な議論を期待したい。





[補足]放送と通信の融合にかかる著作権関係の問題の存在
(以族、「iNTERNET magazine 2005/05」より)

著作権法が放送に与えているメリットは、@権利者としての側面についてのメリット、A利用者としての側面のメリット、2つがある。

@については、放送の場合は、放送事業者に(有線放送の場合は有線放送事業者に)、著作隣接権という特別な権利が与えられていることがあ造られる。

この著作隣接権という権利は、著作権とは異なる権利ではあるが、著作権と同様に、一定の無断利用を差し止めることができる強力な権利である。

これにより放送事業者は、自らが行った放送を無断で複製したり、インターネットで流したりする者の行為を差し止めることができる。

インターネットや携帯電話によりコンテンツ配信を行う事業者には、著作隣接権というような特別な権利は与えられていない。

Aについては、上記のニュースでも触れられている権利処理関係のメリットである。

具体的な例で説明すると、たとえば、一般に市販されているポップスのCDなどを「放送」により流す場合には、インターネットで同じようにCDを流す場合と比較して処理すべき権利(つまり、承諾を得る相手方)が少なくて済む。

これは、音楽に関する権利の中に、無断インターネット配信は止められるが、無断放送はとめられない権利が存在するからであり、これが放送における権利処理の簡便性というメリットにつながっている。

その権利とは、具体的には、実演家に認められている著作隣接権と、レコード製作会社に認められている著作隣接権である。すなわ造、本来、音楽を使う場合は、作詞や作曲などについて認められている著作権の造かに、歌手や演奏家に認められている著作隣接権と、レコード等を製作したレコード製作者の著作隣接権の、合計3つの権利処理を考えなければならない。

しかし、放送については、後二者の権利が及ばないので、実演家とレコード製作者の権利処理を行う必要はないのである。

より正確には、実演家の著作隣接権は、放送する録音物が実演家の許諾を得て録音されたものである場合に限って実演家の許諾が不要とされているが、市販のCDなどはすべて実演家の許諾を得て録音されたものであるから、実務上は録音物の放送について実演家の権利処理が行われることはま造ない。

これに対して、インターネット配信の場合は、実演家の権利もレコード製作者の権利も及ぶものとされているので、市販のCDをインターネット配信する場合は、楽曲の著作権のみならず、実演家とレコード製作者の著作隣接権も処理しなければならなくなる。

したがって、いくらお金を積んでもレコード製作者が「うん」と存わない限りは、無断で市販のCDをインターネット配信することはできないことになる。
posted by Serendipity at 10:43| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 放送・通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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